京都電気鉄道の成功を契機に路面電車は、名古屋電気鉄道(のちの名古屋市電、1898年開業)など全国に普及していった。1903年に開業した大阪市電では日本最初の2階建て電車を新製した。19世紀末にイギリスの各都市で普及した2階建て路面電車の様式が踏襲され、オープンデッキでベンチのような座席の並んだ2階部分が24名、1階部分が42名の計66名という定員で、ボギー車並の輸送力を持っていた。
1904年に営業運転を開始した2階建て電車は上々の人気を博し、後に2両増備されて3両の布陣となったが、雨天や風の強い日には運転できなかったことや運転取扱いが難しかったことなどから、大正の元号を聞く前に廃止されてしまった。
・電気方式:DC600V、架空単線式
・車体:木製
・制御装置:直接式
・主電動機:AEG社製35HP×2
・ブレーキ装置:手ブレーキ
・台車:ドイツヘルブランド社製2軸台車
・車両メーカ:汽車会社
(出所:「日本の電車物語」)
時代背景
1882年に馬車鉄道が営業を開始するが、輸送力不足と「馬糞公害」が問題となっていたことから、これに代わる近代的な都市交通機関として路面電車に置替わっていく。東京馬車鉄道も東京電車鉄道に改称し、東京最初の路面電車(後の東京市電)となった。