1914年以降、国鉄では制式客車用台車について、その側枠を構成する主要材料として「球山形鋼(バルブアングル)」と呼ばれる、本来は船舶向けに生産されていた特殊な断面の形鋼材を使用していた。しかし、造船用鋼材の需要が第一次大戦後の造船不況の影響で激減し、これに伴って球山型鋼も生産打ち切りとなってしまった。
このため球山型鋼を使用しない客車用台車の設計を強いられた鉄道省は、これを機に台車の基本構成を一新することになった。こうして1928年に優等車用3軸台車であるTR73と、一般車用2軸台車であるTR23の2種が設計され、1929年度量産開始のスハ32系より標準採用されるようになった。
これらは良好な成績を収めたことから、1930年代から1940年代にかけて国鉄の客車のみならず電車・気動車にまで幅広く採用され、更に太平洋戦争後も軸受構造の変更を実施の上で1950年代初頭まで同系台車の量産が継続された。(Wikipedia)
生産技術
「ペンシルバニア形」と呼ばれる、米国の有力私鉄・ペンシルバニア鉄道で設計・使用されていた客車・電車用台車を参考に設計された、揺れ枕吊りを備える軸ばね式台車である。
頭端部にコイルばねを内蔵する鋳鋼製軸箱部とH形鋼の加工品による側梁を、鋳鋼による横梁と鋲接で組み合わせて台車枠を構成する。
この系統の台車にはいくつもの利点があった。一般的な断面形状の規格鋼材と鋳鋼部品によって主要部が構成されているため材料の入手性が良く、軸距変更も側梁の鋼材寸法を伸縮することで比較的容易に行えた。また、軸箱を連結する釣り合い梁を持たないためばね下重量が最小限に抑えられて軌道破壊が少なく、消耗品であるブレーキシューの交換も車両側面から容易に行えた。
記事
仕様
軸箱支持装置: 軸箱守+釣り合い梁+コイルばね
枕ばね装置: 内吊り短リンク+3連重ね板ばね
牽引装置: 揺れ枕守+心皿
軸距: 2,450 mm
車輪径: 860 mm仕様
台車枠 - 鋳鋼+形鋼リベット組立