明治時代には、ブリル(Brill)、フォックス(Fox)社等からの輸入品やその模倣品など雑多なものが用いられていたが、、国有化後明治42年鉄道院は基本台車を制定した。
鉄道院基本形客車 6810形(のちの12000形)ほかに用いられた標準台車である。
鉄道院の後身である鉄道省は1929年に台車の形式称号の整理を実施した際、電車用・客車用の区分無く一律にTR10の名称が与えられており、これが制式2軸台車の最初のものとなっている。
3軸台車TR70は主に優等車用であるが、初年度製造分については台車設計が間に合わず、鉄道作業局時代最後の客車用3軸台車である
生産技術
初期の中形客車用2軸台車としては、鉄道作業局時代末期に新橋工場で設計された明治41年式4輪台車と呼ばれるイコライザー台車を基本としつつ、軸距を1フィート延伸して8フィート(2,438mm)とした、溝形鋼を側枠に使用するイコライザー台車である。
明治42年の基本ボギー制定後、明治45年、対象3年、6年等に若干の基本改定がなされたが、釣合梁つき、つり揺れまくらのアメリカ式のものである。釣合梁はもと鍛造によったが、のち、厚板から切り取り製作することとした。ボギー枠側梁は、釣合梁が抵触しないよう玉山形鋼を用いた。3軸ボギーもほぼ同じである。
記事
TR10 明治42年式2軸台車 仕様
軸箱支持装置: 軸箱守+釣り合い梁+コイルばね
枕ばね装置: 内吊り短リンク+3連重ね板ばね
牽引装置: 揺れ枕守+心皿
軸距: 2,438 mm
車輪径: 860 mm