1951

戦後初の3等客車 スハ43形

スハ43形、スハフ42形、北海道:スハ45形、スハフ44形

記事番号P220

 戦前のオハ35系と軽量客車と称された10系との間に位置する、スハ43形に代表される同一の設計思想によって製作された客車を総称するもので、戦後初めての新設計となる3等客車である。

生産技術

車体:鋼体化車両と称された、オハ60形(1949年)で採用された完全切妻形車体(連結面に後退角がない車体)を採用した。これにより客室の有効面積が広がり、わずかではあるが座席間隔も広くなった他、製造上も、デッキ部分の工数が減ってコストダウンにつながっている。
 本車両の生産時期は、戦後復興が進展してきた時代であり、内外装の仕上げも、戦後の混乱期と比較して良好なものとなった。
車内設備:43系では、三等客車の接客設備で著しい改善が見られた。設備自体の改善に加え、新しい着想による装備も追加して、旅客サービスの向上が図られている。
・白熱灯照明ではあったが、照明数の倍増で、従来の客車に比べ車内は大幅に明るくなった。
・座席は、背ずりの下半分の詰め物を厚くして腰への当たりを良くするとともに、スプリングも軟らかくされて座り心地が良くなり、長距離利用者に配慮したものとなった。シートピッチは15mm拡大され1470mmとされている。
・客室とデッキを仕切る扉の戸車についても、従来は優等車に限って使用されていた防音戸車を採用し、車端座席の乗客の居住性改善を図っている。
・便所は、80系湘南電車同様に、便器を埋め込み式として、内装にタイルによるシーリングを行い、清掃をしやすくして清潔性を高めた。
等々

記事

同系統の車両群
・軽量形3等車 オハ46形、オハフ45形ほか

  • スハ43形
    出所:「100年の国鉄車両」(交友社)