客車の標準設計として「客車・郵便車・手荷物車工事仕様書」が作られ、客車製造についての統一基準が1910年8月に制定された。
この仕様書に従う形で、国有化後初の制式客車として計画・製造されたのがホハ6810形(のちのホハ12000形)で、17m級2軸ボギー式の中形の客車である。
生産技術
車体幅が2.6m、屋根は二重屋根としている車体長17mの2軸ボギー車である。
車体構造は国有化前に鉄道作業局新橋工場が設計・製造していた優等客車のそれを踏襲している。
台枠は、原則、構造が規格化された新規設計品を採用しており、17m級のUF11を用いている。
室内灯は、車軸発電機と蓄電池による電灯が標準採用され、従来のガス灯や油灯とは異なり安定した室内照度が得られるようになった。
2軸台車としては、鉄道作業局時代末期に新橋工場で設計された明治41年式4輪台車と呼ばれるイコライザー台車を基本としつつ軸距を1フィート延伸して8フィート(2,438mm)とした、溝形鋼を側ばりに使用するイコライザー台車である明治42年式4輪台車としている。
その後、これを改良した明治44年式4輪台車、更に側枠を山形鋼あるいは球山形鋼に変更した明治45年式4輪台車が基本形客車の標準台車として採用されている。
時代背景
1906年から1907年にかけて順次実施された私設鉄道17社の国有化をふまえ、1908年に内閣鉄道院(鉄道院)が設置されたが、客車全体約4,900両の内、4,000両近い小形の2軸客車を早急に大形のボギー車で代替することが求められた。
ところが、鉄道庁設立時点では増備される客車について設計の統一が図られず、国有化以前の設計そのままでの車両製造が各社から承継した各工場で続けられていた。
以後の国鉄客車の標準規格の多くが、本客車ホハ12000形の標準仕様に基づくこととなり、「鉄道院基本形客車」のひとつとして輸送計画上の基準ともなっている。
記事
台枠、すなわちアンダーフレーム(UF)には、以降の大形客車用含め次のような型が開発された。
・UF11 基本2軸ボギー車用 車体幅2600mm
・UF12 大形(17m)2軸ボギー車用 車体幅2800mm
・UF41 大形(20m)3軸ボギー車用 車体幅2800mm