1944

戦時設計の貨物用電気機関車 EF13

EF13形

記事番号E220

 EF13形は、1944年から1946年にかけて国鉄の前身である運輸通信省が製造した直流用電気機関車である。輸送力の増強が叫ばれるなか、限られた資材、労力と時間の中でEF12形に準じた性能の機関車として、日立、川崎車輛・川崎重工業、東芝により、合計31両が製造された。

 EF13は使用鋼材を極力省略するため、車体前後にボンネット状の機器室、中央部に短い車体を備える「凸形」車体を用いていた。
 
 戦後になって改造が行われ、EF13形の凸形車体は、EF58(1次車)を改造によって余剰となった旧EF58の箱形車体に乗せ換えられている。

生産技術

 製造当初のEF13形は、銅を節約するため、電気のわたりバーに帯鋼を使用したほか、高速度遮断機、弱め界磁も省略されていた。また、絶縁物の質が悪いため、温度上昇の制限が大きく、EF12形と同等の性能を得ることができなかった。パンタグラフも電車で使用していたばね上昇式のPS13を採用していた。車体は、機器を覆うための最小限の大きさの凸形とし、出入台は木板で製作していた。車体の台枠にはコンクリートを流し込み、質量をEF12形に近づけていた。(電気機関車展望1、交友社)

時代背景

 太平洋戦争中に戦時形車両として開発された機関車であり、その特異な出自に起因する複雑な変遷を辿った。軍需輸送に対応するための輸送力増強が求められる一方で、戦時の資材不足が深刻化すると在来型機関車の生産自体が困難となり、EF12の機能を簡略化した代替機が求められた。こうした状況を背景に開発されたのが「戦時形機関車」EF13形であった。(Wikipedia)

記事

主要仕様(EF13 箱形車体に改造後)
・軸配置 1C+C1
・1時間定格出力   1600kW(MT39×6)
・歯車比 4.15
・最高速度 75km/h
・質量   99.0t
・制御方式 抵抗制御、3段組み合わせ制御、弱め界磁制御

  • EF13形 戦時設計形
    出所:「100年の国鉄車両」(交友社)

  • EF13形 改造後
    出所:「100年の国鉄車両」(交友社)