1967

日本初の交流区間回生ブレーキを採用した開発試作交流電気機関車 ED94形

ED94形(後のED78形901号機)

記事番号E690

 ED94形は、ED78形の試作機である。
 福米線(福島ー米沢)は、古くは、EF16による直流回生ブレーキ、EF64による発電ブレーキ方式によって33パーミルの勾配を降坂していたが、直流から交流に電気方式が変更されるに伴い、(発電ブレーキを搭載するのではなく)、交流回生ブレーキが可能な、全サイリスタ方式が採用された。
 交流の場合には、直流機関車と異なり、若干の機器追加だけで、回生が可能なこと、直流にくらべ、回生中の高い粘着が確保でき、けん引定数を向上できるようにするため、ED94で、全サイリスタ方式の交流回生ブレーキ付を採用したもの。
 抑速機構として交流回生ブレーキを搭載し、軸重可変機能付の中間台車をもつ試作機関車ED94形を製造し、各種試験の後に量産仕様としてEF71形電気機関車とともに設計されたのが本形式である。
 ED94 1は、各種試験を実施後1968年に郡山工場(現・郡山総合車両センター)にて量産化改造が施工され、ED78 901として編入改番された。

生産技術

 日本初の交流回生ブレーキ制御の採用となった。
 主回路制御方式は、タップ切換器を用いない面ではED77と同様であるが、回生ブレーキが可能な、全サイリスタ縦続接続連続位相制御方式を採用した。
 TR103形中間台車は空気ばねによる軸重可変装置が装着されており、動軸重を14.0t〜16.8tの4段階に変化させることができる。これにより軸重に制限のある仙山線・磐越西線への入線を可能とした。

記事

主要仕様
・軸配置 B-2-B
・1時間定格出力 1900kW(MT52, MT52A, MT52B×4)
・歯車比 4.44
・最高速度 100km/h
・質量   80.0t
・制御方式 サイリスタブリッジによるサイリスタ連続位相制御、抑速回生ブレーキ付
・製造メーカー 日立製作所

  • ED94形
    出所:「100年の国鉄車両」(交友社)

  • ED78形901号機
    出所:「100年の国鉄車両」(交友社)

  • ED78形 RS30A形主シリコン制御整流器
    出所:「100年の国鉄車両」(交友社)

  • ED78形 CS31形主制御器
    出所:「100年の国鉄車両」(交友社)