1963

シリコン整流器、磁気増幅器併用方式 標準形交流電気機関車 ED75形

ED75形 0番代、300番代、1000番代

記事番号E650

 ED75形は、1963年に常磐線が平駅(現・いわき駅)まで交流電化開業するのに伴い、それまでのED71形の後継機種として、広汎な運用に供するため汎用性を重視して設計された機関車である。
 投入開始以来、当初構想の東北・常磐地区のほか、北海道や九州にも投入され、事実上の標準型として1976年までに総数302両が製造された。
 特急列車から一般貨物列車まで幅広く運用されたが、1980年代以降はEF81形の運用拡大、夜行客車列車や貨物列車の削減、普通客車列車の電車化・気動車化などによって運用が減少し、JR移行時には初期車を中心に大量の廃車が発生した。(Wikipedia)
 ED75形0番代(50Hz一般形)、300番代(60Hz)、1000番代(50Hz高速形)
補注:ED75形501号機は、1965年(記事番号E670)に記載
   ED75形700番代は、1971年(記事番号E715)に記載

生産技術

 先にシリコン整流器を搭載して製造されたED74形を基本にしているが、ED74形は変圧器の1次側の巻線比を切替える高圧タップ制御を用いたが、ED75形は、粘着性能の確保のために、変圧器の2次側で巻線比を切替える低圧タップ制御としている。
 低圧側の制御は高圧側に比べ大電流を扱うため電流ピークが発生しやすいが、磁気増幅器により流通角制御するタップ間連続電圧制御で連続制御が可能となり、電気的粘着力の問題は解決した。
 その他の制御方式の電気機関車と区別するため、磁気増幅器(magnetic amplifier)の略称からM形と呼ばれている。磁気増幅器は重量が大きいため、将来サイリスタインバータが実用化された際に換装が可能な設計とされた。
 台車はED74形と同様、引張棒で牽引力を伝達する(ジャックマン式)仮想心皿方式を採用し、力点をレール面まで下げ機械的な粘着力を確保している。

記事

主要仕様
・軸配置 B-B
・1時間定格出力 1900kW(MT52, MT52A×4)
・歯車比 4.44
・最高速度 100km/h
・質量   67.2t
・制御方式 無電弧低圧タップ切換、磁気増幅器位相制御、弱め界磁制御

  • ED75形 1号機
    出所:「100年の国鉄車両」(交友社)

  • ED75形 3号機-
    出所:「100年の国鉄車両」(交友社)

  • ED75形運転台
    出所:「100年の国鉄車両」(交友社)

  • ED75形 主変圧器外形(左LTC3形タップ切換器、中央TM11A形主変圧器、右MA1A形主磁気増幅器)
    出所:「100年の国鉄車両」(交友社)

  • ED75形 LTC3形タップ切換器
    出所:「100年の国鉄車両」(交友社)

  • ED75形 RS21形主整流器
    出所:「100年の国鉄車両」(交友社)