交直両用電気機関車では国鉄で2例目となる量産形式で、常磐線系統の客貨列車用として1962年から1967年までに63両が製造された。
1961年6月1日、常磐線の取手 - 勝田間が電化されたが、従来の直流電化では茨城県石岡市柿岡にある地磁気観測所での観測に影響を与えるために交流電化とされた。
この区間を走行する電車・電気機関車は取手 - 藤代間にデッドセクションを設けて、走行中に直流と交流とを切り替える車上切換方式とすることが決定し、国鉄では、1959年にED46形(後のED92形)1両を試作した。
日本初の交直両用電気機関車である同形式は東北本線や常磐線で各種試験が行われ、試用結果を反映させて開発・製造されたのが本形式である。
生産技術
交直流両用機関車で機器搭載による重量増を抑えるために、ED46形で採用された1台車1モーター2軸駆動のカルダン駆動方式を踏襲した。
1次形では総重量96.0tで車輪1軸あたりの荷重となる軸重も16t(2次形では、それぞれ97.8t・16.3t)を実現している。
整流器はRS9形シリコン整流器を採用した。
また、EF80形63号機は、1966年に日本で初めてSIV式列車暖房用電源装置を搭載した交直流電気機関車である。
2次形の51 - 63では、1次形の心皿式台車によるピッチングの問題対策のため、引張力伝達方式(リンク式)台車に変更しているほか、正面前照灯を埋め込み式から張り出し式に変更等の設計変更がなされている。
記事
主要仕様
・軸配置 B-B-B
・1時間定格出力 1950kW(MT53(1次形),MT53A(2次形)×3)
・歯車比 3.60
・最高速度 100km/h
・質量 96t(1次形)、97.8t(2次形)
・制御方式 抵抗制御・2段組合せ・弱め界磁
・駆動装置 1モーター2軸駆動1段歯車減速カルダン方式
・製造メーカー 三菱電機・三菱重工業、日立製作所、東芝