1962

北陸線(60Hz)直通用試作 交直流電気機関車 ED30形

ED30形

記事番号E630

 ED30形は、国鉄が製造した試作交流直流両用電気機関車である。なお、この形式は2代目である。
 国鉄浜松工場において、廃車となったEF55形3号機の主電動機と輪軸を流用し、1962年(昭和37年)に1両が製造された。
北陸本線坂田駅 - 田村駅間のデッドセクション(交直境目)を挟む区間に投入された。
 デッドセクション区間の接続に用いられる低コストな小型交直両用機のモデルケースとして、EF55形の主要部品を転用して製作された。その結果を基に5両の製造が計画されていたが、増備は為されず、1形式1両の完全な試作機関車として終わった。

生産技術

 運用区間や折り返し時間が短いことから車体は凸型とされ、交流避雷器、空気遮断器等の屋上特高圧機器は運転室上に設けられた巨大な庇の上に設置されている。パンタグラフもこの庇に設置されているが、占有面積を減らすために当時としては珍しい下枠交差型のPS20形を採用した。
 運転装置にも試作的要素がみられ、ワンハンドルマスコンを備え、ノッチの進段は順序開閉器の電磁制御によって自動的に行われる。また、新しい方式のデッドマン装置が設備されている。

記事

主要仕様
・軸配置 B-B
・1時間定格出力 960kW(MT28A×4)
・歯車比 4.15
・最高速度 75km/h
・質量   64t
・制御方式 抵抗制御、直並列切替制御

  • ED30形
    出所:「100年の国鉄車両」(交友社)