1960

関門トンネル7用ステンレス外装採用の交直流電気機関車 EF30形

EF30形

記事番号E580

 EF30形は、国鉄が製造した交直流両用電気機関車である。
 直流電化区間である関門トンネルと交流電化区間の門司駅を直通可能で、なおかつ関門トンネル内の22‰勾配において重連で1,200t貨物列車の牽引が可能な性能を備える交直流電気機関車として本形式が開発された。
 なお、本形式は世界初の量産交直流電気機関車である。(Wikipedia)

生産技術

 車体は関門トンネルの海水による錆(塩害)を防ぐため、従来関門トンネルで使用されていたEF10形の一部に採用され、防錆対策に効果を上げていたステンレス板を車体外板および屋根上機器箱に採用し、その他の機器箱類についても、極力黄銅などの錆びにくい部材を選択している。
 交流用機器の搭載に伴い自重が増大することから、試作された交直流電機ED46形(後にED92形)などと同様に、1台車1モーター2軸駆動方式を採用。
 エキサイトロン整流器を搭載していたED46形とは異なり、当初よりシリコン整流器を搭載する。
 これは、交流区間でのいわば部分負荷(10分間定格)ではあるが、日本初のシリコン整流器方式の電気機関車制御であった。
 整流素子の接続方法は単相ブリッジ整流。ダイオードは1号機は三菱電機製。1号機試作から約2年の間の半導体技術の急速な進歩により、信頼性を含めたダイオードの性能が大幅に向上しており、特に逆耐圧電圧の大幅向上は整流器の回路構成簡素化に大きく貢献した。(Wikipedia)

時代背景

 関門トンネルを挟む山陽本線下関 - 門司間では、1942年の開通以来、直流1,500Vで電化され、これに対応するEF10形電気機関車が専用機関車として用いられていた。
 しかし、1961年6月1日に鹿児島本線門司港 - 久留米間が交流電化される際に門司駅構内も交流20,000V、周波数60Hzで電化され、下関寄りにある関門トンネル入り口付近にデッドセクションを設置して電気的に分割することになったため、下関 - 門司間を直通する客車列車・貨物列車の牽引には、双方の電化方式に対応する交直流電気機関車が必要となった。(Wikipedia)

記事

主要仕様
・軸配置 B+B+B
・1時間定格出力 直流区間1800kW、交流区間〔10分間定格〕346kW(1号機MT102、2号機以降MT51×3)
・歯車比 3.88
・最高速度 直流区間85km/h、直流区間35km/h
・質量   96t
・制御方式 抵抗制御・直並列組合せ制御
(バーニア制御付)
・製造メーカ 三菱電機・新三菱重工業、東京芝浦電気、日立製作所

  • EF30形 1号機
    出所:「100年の国鉄車両」(交友社)

  • EF30形 2-22号機
    出所:「100年の国鉄車両」(交友社)