1956

整流器式(風冷イグナイトロン式)第2期試作車(1) 交流電気機関車 ED45形11号機

ED45形11号機(後のED91形11号機)

記事番号E530

 引き続き整流器式交流電気機関車の開発と試験が継続され、製造メーカー毎に搭載機器や方式の異なるED45形 11号機、21号機が製造された。本機は、昭和32年(1957年)3月に東芝が製造。

生産技術

 変圧器を保守の楽な乾式とし、整流器は風冷式とした。
 東芝技術陣は水銀整流器の電流阻止作用に着目。これを利用して無電弧タップ切替を行う方式を開発した。
 補機用の低圧電源供給には従来の電動発電機の代わりに相数変換機を用いて交流化を図り、以降の交流機関車の標準方式となった。
 台車・主電動機は、EH10で実績のある台車方式とし、主電動機の装荷方式も、つりかけ式である。
 2次試験の結果、好成績を残した。この車両をベースにED72形・ED73形が開発された。

時代背景

 1953年に日本全国で幹線電化を進めるにあたって、変電所が少なくでき建設費を抑えられる商用周波数による交流電化方式が着目された。1955年に仙山線で試験を実施、1957年9月5日に仙台-作並間で営業運転が開始された。この後、旧・日本国有鉄道の新規電化区間のうち、北海道、東北、九州の各地方および茨城県内と北陸本線で交流電化(一部区間を除く)が採用された。

記事

主要仕様
・軸配置 B-B
・連続定格出力 1100kW(MT902A×4)
・歯車比 4.31
・最高速度 100km/h
・質量   60t
・制御方式 低圧タップ切換、イグナイトロン位相制御、弱め界磁制御
・水銀整流器 風冷式イグナイトロン

  • ED45形11号機 [ED9111]
    出所:「100年の国鉄車両」(交友社)