1955年9月28日に製造された日本初の整流器を用いた交流電気機関車である。製造は、三菱電機・新三菱重工業。
直接式のED44形と整流器式のED45形 1号機、さらにその後製造されたED45形 11号機・21号機の計4両は、メーカ各社が国鉄との試作開発した交流機関車黎明期のものである。性能比較のためなどで機器類に相違点がある。
上記4両ともであるが、当初は正式な国鉄車籍を有しておらず、製造メーカーからの借入扱いであった。仙山線の交流電化開業の1957年9月5日を前にした、同年3月27日に国鉄に入籍した。
生産技術
送油風冷式変圧器・水冷式イグナイトロン水銀整流器・低圧タップを併用して直流電動機を駆動する制御方式を採用した。
小型高速型のMT903形主電動機を採用し、緩衝作用を持つクイル式駆動装置を初採用した。
整流器式は車上に変電所を持つようなものであり、当初の見積では自重が100t超となったことから、電気・機器部分にこれまでの常識を覆すほどの軽量化が行われた。
整流器式は、ED44形の直接式に比べ、粘着性能が優れていることが確認されたが、当時の整流器は、寿命や性能面での課題があった。
イグナイトロン整流器は以下の欠点があった。
振動に弱いため防振対策を行ったが、それでもイグナイタが脱落する事故が相次いだ。
寿命が短いため交換の頻度が高い。
水冷式ゆえに整備に手間がかかる。
このため1959年にシリコン整流器に交換された。
2次試験の結果、好成績を残し、この車両をベースにED70形が開発された。
時代背景
1953年に日本全国で幹線電化を進めるにあたって、変電所が少なくでき建設費を抑えられる商用周波数による交流電化方式が着目された。1955年に仙山線で試験を実施、1957年9月5日に仙台-作並間で営業運転が開始された。この後、旧・日本国有鉄道の新規電化区間のうち、北海道、東北、九州の各地方および茨城県内と北陸本線で交流電化(一部区間を除く)が採用された。
記事
主要仕様
・軸配置 B-B
・連続定格出力 1000kW(MT903×4)
・歯車比 5.69
・最高速度 85km/h
・質量 59.9t
・制御方式 低圧タップ切換、イグナイトロン位相制御、弱め界磁制御
・水銀整流器 水冷式イグナイトロン