EF66形は、国鉄が1968年から1974年まで、JR貨物が1989年から1991年まで製作した直流電気機関車である。
本形式の量産に先立ち、1966年に試作されたEF90形電気機関車である。
東海道・山陽本線系統の高速100km/h運行の貨物列車専用機として開発された形式である。(Wikipedia)
当初は動軸数8軸の「H級」とする構想もあったが、大出力電動機の実用化に見込みがついたことから動軸数6軸の「F級」として開発が進められ、1966年(昭和41年)9月に試作機が川崎車輛(現・川崎重工業)で完成した。これがEF90形である。定格出力 3,900kW は狭軌鉄道では当時世界最大のものであった。
同年11月より、先に運用を開始していたレサ10000系冷蔵車(生鮮食料品輸送用)の特急貨物列車「とびうお」「ぎんりん」の牽引で運用を開始し、運用結果を基に1968年(昭和43年)から量産機の製作が開始された。これがEF66形である。1985年からは、ブルートレイン寝台特急「はやぶさ」「富士」を牽引した。
生産技術
1,000tの貨物列車を100km/hで運転することを開発目標として、三菱電機が原設計を担当した。
主電動機は、本形式専用に開発された直流直巻整流子電動機のMT56(85%界磁時の端子電圧750V時1時間定格出力650kW、定格回転数1,200rpm)を6基搭載する。
このMT56は、耐熱性の高い無溶剤エポキシ樹脂絶縁材の採用や定格回転数の引き上げなどで高出力を得られるように設計された低トルク高回転数仕様の高速電動機であり、MT52より軽量でありながら85%界磁でMT52の全界磁時の約1.5倍の出力を実現した。
また、空気ばねを機関車で初めて採用している。両端の台車DT133が空気ばねを介してまくらばりに全荷重を伝え、けん引力伝達にもボルスタアンカーを用いる、同時期の電車用台車に近い構造になっている。中間のDT134は曲線通過時に横動に対応する必要があるため、上下揺れまくらと揺れまくら釣りを持つリンク式機構を備え、上揺れまくらが車体と結ばれている。
動力伝達機構は、新開発のQD10中空軸可撓吊り掛け式駆動装置を用いてばね下重量を軽減している。これは設計当時ドイツ連邦鉄道103型電気機関車などで採用されていたのと同様の機構で、国鉄電気機関車では最初で最後の採用例となった。
試作機(EF90形)
試作機EF90は、1966年(昭和41年)9月川崎車輛+川崎電機で製作された。本形式の前身となる試作機である。最高速度 100 km/h の高速貨車コキ10000形・レサ10000形などと同時に試作され、各種試験に供された。
時代背景
名神・東名高速道路の整備により輸送シェアを拡大しつつあったトラック輸送に対抗するため、国鉄では特に所要時間の短縮が急務とされた生鮮品輸送を中心に貨物列車の高速化を計画した。
最高速度 100 km/h で走行可能な専用の新型機関車、コンテナ車・冷蔵車などの開発が開始された。
記事
主要仕様
・軸配置 B-B-B
・1時間定格出力 3900kW(MT56×6)
・歯車比 3.55
・最高速度 110km/h
・質量 108.00t
・制御方式 自動進段電動カム軸制御
抵抗制御・3段組合せ・弱め界磁
(バーニア制御付)