1934

戦前の貨物用標準形電気機関車 EF10形

EF10形

記事番号E160

 EF10形は、国鉄の前身である鉄道省が貨物列車牽引用に1934年から製造した直流電気機関車である。
 1934年から1941年にかけて日立、芝浦製作所・汽車製造、三菱電機・三菱重工業、川崎車輛・川崎重工、東洋電機・日本車両で41両が製造された。
 モーターや単位スイッチ制御器などの基本機構はEF53形のシステムを踏襲したが、歯車比をけん引力重視の低速形に変更し、軸配置は1C-C1となっている。
 長期に渡って製造されたため、生産技術の向上に伴って、車体構造に違いがあるほか、一体鋳鋼台車などの当時の最新技術を採用した車両も存在した。

生産技術

16号機まではEF53形に準じリベット組立されて角張った車体を持ち、1938・39年製の17号機から24号機は前年登場のEF11形4号機に酷似した丸みの強い溶接構造の半流線型車体、25号機以降はEF56形後期形に準じた簡素な角形溶接車体となっている。
 1937年には、一体鋳鋼台車採用(住友金属工業・現 新日鉄住金製)の関門トンネル用電気機関車EF10形17、20〜24、30〜33号機(合計10両).
 さらに戦後の1953年には、骨組みはそのままステンレス製外板を施した我が国初のステンレス製機関車 EF10形24,27,35,37,39,41号機 (合計6両)(39号機を除く5両説あり)が改造製作された。

時代背景

 鉄道省は大正時代末期から欧米の輸入電気機関車を導入し、その実績を元に1928年、旅客列車用の大型機関車EF52形を国産開発したが、これが好成績を収めたことから、1932年にはその改良型として東海道本線の優等列車牽引を考慮した大型高速旅客機関車EF53形を開発していた。
 しかし、本線貨物列車用の大型機関車国産化は遅れ、専ら輸入機関車によって貨物列車を運行していた。このため、それらを代替すべく、EF53の設計を基本にその派生形として開発されたのが本形式である。(Wikipedia)

記事

主要仕様
・軸配置 1C+C1
・1時間定格出力  1350kW(MT28×6)
・歯車比 4.15
・最高速度 75km/h
・質量   97.5t
・制御方式 抵抗制御、3段組み合わせ制御、弱め界磁制御

  • EF10形 1次形
    出所:「100年の国鉄車両」(交友社)

  • EF10形 17号機
    出所:「100年の国鉄車両」(交友社)