1932

戦前の旅客用標準形電気機関車 EF53形

EF53形

記事番号E140

 EF53形は、国鉄の前身である鉄道省が、1932年から製造した直流用旅客電気機関車である。
 EF52形のシステムを基本としているが、EF52形に比べて高速性能の向上、機器類の信頼性および機能の向上が図られており、省形電気機関車(鉄道省の標準電気機関車)の一つの完成形として、その後のEF56形、EF57形などの基本となった。1934年(昭和9年)までに日立、芝浦製作所・汽車製造、三菱電機・三菱造船、川崎造船所・川崎車輛で19両が製造された。
 後に瀬野・八本松間の勾配区間後押し機関車EF59に改造された。

生産技術

 EF52形に比べ、次のような点が変更されている。
・高速性能の向上を図るため歯数比を3.45から2.63に下げる。
・制御段数を28段から25段に、単位スイッチを41個から36段に減らす。
・電動発電機をクロス界磁付1基から電車と同様の励磁機付2基に変更。
・パンタグラフを緩衝器付きのPS10Aに変更。
・13号機からは主電動機を62%弱め界磁付きのMT17Aに変更し定格速度を向上。
・全長を20,600mmから19,920mmに短縮し、重量を108tから98.88tに軽減。
・車体形状の変更でEF52形では車体下部に露出していた台枠を車体内に納め、元空気タンクは床下装備とした。

記事

主要仕様
・軸配置 2C+C2
・1時間定格出力 1350kW(MT17,MT17A×6)
・歯車比 2.63
・最高速度 95km/h
・質量   98.88t
・制御方式 抵抗制御、3段組み合わせ制御、弱め界磁制御

  • EF53形
    出所:「100年の国鉄車両」(交友社)