1931

国産初の標準形電気機関車 ED16形

ED16形

記事番号E130

 ED16形は、国鉄の前身である鉄道省が、中央本線甲府電化及び上越線清水トンネル区間の電化開業に伴い、1931年から製造した直流用電気機関車である。
 中央線の電化にあたっては、東海道線で使用していたED50形などを勾配区間に適した歯車比に改造したED17形などの輸入電気機関車を投入していたが、不足する機関車を補うために、新型のD形電気機関車を開発・製造することとなった。EF52形で行われた共同設計がよい成績を収めたため、設計・開発は共同設計を行い、三菱電気・三菱造船、日立、芝浦製作所・汽車製造、川崎造船・川崎車輛の各社で合計18両を製造した。

生産技術

 EF52形と同様、箱型車体で車端に乗務員出入用のデッキが設けられている。動輪は4軸で、両端に先輪が1軸ずつ設けられている。EF52形をD形(動輪4軸)にして小型化したような外観であるが、短くなった機器室内に勾配線区での起動に備えて主抵抗器を多く搭載する必要性があったこと、台車が3軸から2軸に変更したことにともなう先輪用台車との干渉など数々の問題点を克服して完成に至った。

記事

主要仕様
・軸配置 1B+B1
・1時間定格出力   900kW(MT17×4)
・歯車比 4.77
・最高速度 65km/h
・質量   76.8t(運転整備)
・制御方式 抵抗制御、2段組合せ、弱め界磁制御

  • ED16形
    出所:「100年の国鉄車両」(交友社)