1919

国産初のアプト式電気機関車 ED40形

ED40形(旧10020形)

記事番号E20

 10000形(後のEC40形)の増備用として、鉄道院大宮工場(現・大宮総合車両センター)で製造された国産初の鉄道省向け電気機関車である。本形の増備により、1921年に碓氷峠区間での蒸気機関車の運転が廃止された。

生産技術

 車体は箱形の切妻車体で、中央部の屋根上に停車場内で使用するパンタグラフを1基搭載している。
 本線上では第三軌条から集電するため、集電靴が片側2か所に設備されている。
 また、運転台は横川寄りにのみ設けた片運転台型で、軽井沢方は連結器上に張り出す形で抵抗器室が設けられている。
 主電動機は、車輪駆動用、ラック歯車駆動用に各1基、計2基が床上に設置されており、動力は歯車で減速した後、連結棒で4軸の動軸及び2軸の歯車に伝達される。

時代背景

当時、連結器はくさりで接続する構造であったこともあり、万一の連結器の破損又は外れた場合を考慮して、急勾配区間では機関車を坂の下側に配置していた。このため、碓井峠では、坂の上側となる軽井沢側の運転台は不要となり、横川駅側のみに運転台を配置していた。
 なお、碓井峠は国内きっての急勾配区間であったため、戦後のEF63形においても、機関車を坂の下側に配置して運行を行っていた。

記事

主要仕様
・軸配置 D、アプト式
・1時間定格出力   470kW(MT3A×2)
・歯車比 動輪6.47、歯輪5.82
・最高速度 25km/h(ラック区間 18km/h)
・質量   60.70t
・制御方式 抵抗制御・電磁単位スイッチ式

  • ED40形(旧10020形)
    出所:「100年の国鉄車両」(交友社)