1912

日本最初の電気機関車 ドイツ生まれのアプト式EC40形

EC40形(旧10000形)

記事番号E10

 EC40形電気機関車は、国鉄の前身である鉄道院が初めて導入した電気機関車である。また日本で唯一、動軸数が奇数の電気機関車である。
 信越本線の横川 - 軽井沢間で限定運用された。
 同区間の電化に際して新製されたアプト式電気機関車で、1912年5月11日の同区間の電化の際に使用される電気機関車として、12両が輸入された。ドイツのAEGおよびエスリンゲン社(Esslingen)の合作により1911年(明治44年)に製造された。

生産技術

 集電装置は当初、構内区間用はポールであったが、後にパンタグラフに変更された。本線上ではトンネルの建築限界が小さかったため、第三軌条集電方式(直流600V)とされた。第三軌条の下側に接触する方式で、日本では唯一のものであった。
 主電動機はMT3(一時間定格出力210kW)を1両当たり2基搭載し、1基は車輪駆動用に、もう1基はラック歯車駆動用に用いられた。
 3対の動輪をもつ台車は固定式で、動輪は連結棒で中間軸と車輪駆動用主電動機の大歯車につながっていた。ラックレールに噛み合うラック歯車も同じ方式でラック歯車駆動用の主電動機と結ばれていた。

記事

主要仕様
・軸配置 C、アプト式
・1時間定格出力   420kW(MT3×2)
・歯車比 動輪6.50、歯輪5.86
・最高速度 25km/h (ラック区間 18km/h)
・質量   46t
・制御方式 抵抗制御・電磁単位スイッチ式

  • EC40形(旧10000形)
    出所:「100年の国鉄車両」(交友社)