1948

国鉄最後の蒸気機関車 日本最大のタンク機関車 E10形

E10形

記事番号J690

 E10形 は、かつて国鉄およびその前身である運輸省に在籍したタンク式蒸気機関車である。1948年に4110形の代替機として製造されたもので、動輪5軸を有する。日本国内向けのタンク式蒸気機関車としては最大の機関車である。
 急勾配区間を抱える奥羽本線福島駅 - 米沢駅間では、大正時代製造の勾配用機関車4110形が戦後になっても使われていた。しかし長年の使用により老朽化が進み、また牽引力などの問題で戦後の輸送需要増加に応えることが難しくなってきた。そこで、代替機関車として1948年に製造された蒸気機関車が本形式である。
 本形式は、改造でない純粋な新製機としては、国鉄最後の新形式蒸気機関車である。(Wikipedia)

生産技術

 曲線通過を容易にするため、第1動輪には6mmの横動を許容し、第2動輪はタイヤのフランジを6mm薄く、第3・第4動輪はフランジレスの車輪となっている。
 D52形と同じ太さのボイラーを備え、カタログ上の牽引力、21.7tfは日本の蒸気機関車の中でもっとも大きい。

<形式:E10形>
・軸配置・機関車形態:1E2形タンク機関車
・製造会社:汽車
・製造年度・両数: 1948年・5両
・質量:102.1t(運転整備)
・動輪直径:1250mm

記事

 E10形はテストでも33パーミル勾配において4110形の1.5倍の270トンを牽引したが、急曲線での牽引力の低下が見られるなど、期待したほどの高性能は発揮できず、逆に線路に与える横圧が問題となった。
 板谷峠越えでの運用を開始したものの、就役した翌年の1949年には板谷峠区間(福島駅 - 米沢駅間)が直流電化され、早々と他線に転用されることになった。

  • E10形
    出所:「100年の国鉄車両」(株式会社 交友社)