1945

戦時設計の入換用機関車 B20形

B20形

記事番号J670

 B20形は、国鉄の前身である運輸通信省(のち運輸省)が第二次世界大戦末期から終戦直後にかけて少数を製造した、主として入換え作業用の小型タンク式蒸気機関車である。
 これほど小さな国鉄機関車は明治時代以来で、極めて異例といえる。戦時中に規格生産された産業用機関車の一種であり、本線用の国鉄制式機関車の系譜とは、本来全く無関係の存在である。
  規格統制会の「小型蒸気機関車専門委員会」が設計した規格形機関車は、構造を簡易化するため随所に代用材が用いられ、部材寸法も規格材を少ない加工で用いることを主眼に粗く設定されている。

生産技術

 製造は、産業用蒸気機関車の最大手、富山市の本江機械製作所(1943年に立山重工業と社名変更)。
 最大の特徴は、空気ブレーキ機構を持たず、自機用の蒸気圧ブレーキを装備することである。昭和時代の国鉄機関車としてはB20形が唯一の採用である。

<形式:B20形>
・軸配置・機関車形態:B形タンク機関車
・製造会社:立山重工業、省の郡山工場
・製造年度・両数: 1945年・15両
・質量:20.3t(運転整備)
・動輪直径:860mm

記事

 当時、多数の蒸気機関車が産業鉄道や軽便鉄道、あるいは軍工廠内専用鉄道に供給されたが、生産と運用の実態は戦時中ということもあり、多くが不明である。
 この系列設計の中で、比較的大型に属する20トン級(乙B20形)の何両かは、運輸通信省(1943年鉄道省から改組、1945年運輸省に改組)に籍を持つこととなる。
本機は、この「乙B20形」を基本とした入換機関車である。

  • B20形
    出所:「100年の国鉄車両」(株式会社 交友社)