1935

距離の長い簡易線区向けデンダ機関車 C56形

C56形

記事番号J610

 C56形蒸気機関車は、国鉄の前身である鉄道省が製造した小型軽量テンダ式蒸気機関車である。愛称はシゴロク、またはポニーである。
 短距離線区向けの軽量で前後進の容易な小型機は、1932年にタンク式のC12形が開発された。しかし比較的長距離の線区向けに、このC12形から水槽と炭庫をはずし、テンダ式に設計しなおされたのがC56形である。
 簡易線区において、バック運転が容易となるように、特殊形状の溶接組立構造のテンダとし、後方視界を確保した。しかし、実際にはC12形と異なり従輪がなく、バック運転時の走行特性が著しく低下してしまった。これが原因で脱線が多発したため、低速での入換を除けばバック運転はあまり行われなかったといわれている。(Wikipedia)

生産技術

 C12形とC56形とは、共通部分の多い系列設計となっている。
 また、制式蒸気機関車系列化の先達であるドイツにおいて支線区向けに設計された、64形タンク機と24形テンダ機の設計手法を参考にしたと思われる。両形式は形態もC12形、C56形にそれぞれ類似している。

<形式:C56形>
・軸配置・機関車形態:1C形テンダ機関車
・製造会社:日立、三菱、川崎、汽車、日車
・製造年度・両数: 1935〜1942年・165両
・空車質量:31.76t
・動輪直径:1400mm

時代背景

<C56形以前:> 
 1872年以来続いた鉄道の建設も、政治的圧力を背景に輸送需要が大きくない閑散支線区の建設促進へと移行していった。
 幹線から撤退した旧型機、雑多な旧式輸入機が充てられたが、輸入車両の老朽化・部品確保困難などで整備費用増大が見込まれた。
 そこで昭和初期に至って、閑散支線に最適化された、小型軽量で保守の容易な機関車が計画されることとなった。

記事

<C56 160:>
 C56形のラストナンバー機として完成。1980年に「北海道100周年記念号」の牽引機として抜擢されて以降は、走れる路線を選ばないとの特性から全国各地での出張運転に供されるようになった。2006年、「梅小路の蒸気機関車群と関連施設」として、準鉄道記念物に指定された。2013年時点現在、JR西日本 梅小路蒸気機関車館で動態保存されている。
軍事供出:
 2008年3月C56形は軽量小型でありながら長距離の運用に適する設計であるために軍部より注目され、太平洋戦争開戦直前の1941年11月および12月に、製造された160両のうち半数以上の90両 (C56 1 - 90) が供出され、メータゲージ(1000mm)に改軌の上、タイ・ビルマ(現・ミャンマー)へと送られた。
 供出に際しての主な改造内容は、・車輪のタイヤを特殊形状のものと嵌(は)め換えて軌間を1mへ変更、・空気ブレーキを真空ブレーキに変更・除煙板を撤去、・薪を燃料とするため、焚口を拡大し、炭水車の炭庫上部を柵で囲う、・連結器を交換、などである。
 現在、C56 31は靖国神社の遊就館で静態保存、C56 44は大井川鐵道で動態保存されている。44号機は、帰国後はオリジナルの姿への復元が行われたが、車両限界の関係から切り詰められた屋根(機関銃を乗せるためという説もあった)や、切り落とされた炭水車の一部などにタイ時代の面影が残っていた。大井川鐵道で「SL急行」に用いられた。その後の活躍は動態保存へ。(Wikipedia)

  • C56形
    出所:「100年の国鉄車両」(株式会社 交友社)