1911

日本独自の形状の大形の1C1タンク機関車 3070形

3070形

記事番号J430

 汽車製造会社は、1911〜13年にアメリカ製1C1形タンク機関車3020形を基本として、のちの国鉄形蒸気機関車の外形にも通じる日本的なデザインをもつ3070形を足尾鉄道に6両導入した。
 なお、同社の1C1形タンク機関車は、3070形に先駆け、台湾総督府鉄道に50形として、1905〜12年にかけて14両を納めている。こちらは、神戸工場で1904年に製作した3150形を基本にしていたと考えられている。
 このクラスの1C1形タンク機関車は、地方鉄道においても小回りが利き、使いやすかったため、1925年前後にも複数形式を納入している。

生産技術

<形式:3070>
・軸配置・機関車形態:1C1形タンク機関車
・製造会社:汽車会社
・製造年度・両数:1911年(4両)・1913年(2両)
・機関車質量:37.6t(軸重9.7t)
・動輪直径1219mm

<形式:台湾総督府鉄道 50形>
・軸配置・機関車形態:1C1形タンク機関車
・製造会社:汽車会社
・製造年度・両数:1905〜12年(14両)
・機関車質量:36.6t(軸重12.2t)
・動輪直径1245mm

時代背景

 日清戦争後、台湾総督府は基隆―新竹間の既存の1067mm軌間の鉄道を整備し、1896年に旅客営業を開始するとともに、台湾縦貫鉄道の建設に取り掛かり、1908年4月に縦貫線の基隆 - 高雄間404.2kmを全通させるに至り、汽車会社は、多くの形式の機関車を輸出していた。鉄道最盛期といえる1940年10月には、縦貫線に食堂車もを連結した急行列車が2往復、台東線にも1往復の急行列車が走っていた。
 また、幹線以外にも、軽便鉄道規格の台東線(東花蓮港 - 台東)、阿里山森林鉄路なども敷設した。

記事

*汽車製造会社製の1C1形タンク機関車の例
3420形 1925〜26年(4両) 44.7t(11.1t) 
3425形 1923〜25年(5両) 42.7t(10.2t) 
3455形 1925年(1両) 44.7t(11.1t)

  • 3070形
    出所:「100年の国鉄車両」(株式会社 交友社)