1905

日露戦争と大形化する1Dテンダ機関車 9200形

9200形

記事番号J380

 1904年、日露戦争の勃発に伴い、国内各地から2120形を始めとして各種機関車が徴収されて、中国東北部において、これらの機関車は陸軍野戦鉄道提理部によって兵站輸送に用いられていた。
 戦争が進むにつれて、輸送力を増強するため、C1形タンク機関車2120形とそのドイツ版の2400形、アメリカ版の2500形が大量に発注される一方、更なる大形で強力な機関車が求められ、アメリカのボールドウィン社に当時最大級となる1D形テンダ機関車9200形50両が陸軍の臨時軍事費からの支出によって発注された。
 本来、9200形は、北海道官設鉄道が導入を計画していたものであるが、その性能を陸軍が注目し、増加発注された。

生産技術

<形式:9200>
・軸配置・機関車形態:1D形テンダ機関車
・製造会社:Baldwin(米国)
・製造年度・両数:1903〜09年(50両)
・機関車質量:47.7t(軸重12.2t)
・動輪直径:1092mm(後に1120mm)

 9200形は、当時最大の1D形であったため、アメリカ式の軸配置名称をもじって、「ダイコン(大形コンソリデーション)」とも呼ばれていた。終戦後、国内に送還されてからは、幹線の勾配線区や貨物列車に用いられ、同系統機の9300形、9400形が日本鉄道に導入された。

時代背景

 日露戦争は、1904年2月から1905年9月にかけて、日本とロシア帝国との間で、朝鮮半島及び当時のロシア主権下にあった中国東北部を主戦場として発生した戦争である。
 アメリカ合衆国の仲介の下で終戦交渉に臨み、1905年9月5日に締結されたポーツマス条約により講和した。

記事

*9200形と同系統の1D形テンダ機関車
9300形 Baldwin(米国) 1906年(12両)
9400形 Rogers(米国) 1906年(12両)
9500形 Schenectdy(米国) 1898年(12両)

  • 9200形
    出所:「100年の国鉄車両」(株式会社 交友社)