勾配線区での輸送力を増強するため、従来の1C形及び1D形テンダ機関車、C形及びC1形タンク機関車と異なる軸配置の機関車が導入された。
B+B形タンク機関車4500形は、1902年に我が国で初めて導入されたマレー式タンク機関車で、日本鉄道の勾配区間で使用された。
臼井茂信著 国鉄蒸気機関車小史によれば、C1形テンダ機関車7050形及び7080形は、積雪による脱線や空転を防止するためにC1形という軸配置を採用したと伝えられているが、動輪を誘導する先輪がないため、機関車の蛇行運動と軌道への悪影響は少なくなかったであろうと言われている。しかし、この軸配置のおかげで、日本鉄道の機関車によく用いられる大きな火室を実現している。
生産技術
<形式:4500>
・軸配置・機関車形態:B+B形マレー式タンク機関車
・製造会社:Maffei(ドイツ)
・製造年度・両数:1903年(1両)
・機関車質量:43.1t(軸重11.2t)
・動輪直径:1000mm
・記事:日本初導入のマレー式機関車。
<形式:7050>
・軸配置・機関車形態:C1形テンダ機関車
・製造会社:Dubs(英国)
・製造年度・両数:1902年(6両)・1903年(6両)
・機関車質量:44.3t(軸重12.5t)
・動輪直径:1397mm
時代背景
明治政府は、人々に新しい文明の成果や他国の文化を伝える啓蒙的な役割を果たすため、1877年に上野公園で第1回内国勧業博覧会を開催し、1903年に大阪で開催した第5回内国勧業博覧会では初めて海外からの出品も展示された。
4500形は、Maffeis社が宣伝のために代理店を通してこの博覧会に出品した機関車で、日本向けの1067mmを採用していたが国内の鉄道事業者からの依頼で製作した機関車ではなかった。まだ日本に知られていなかったマレー式機関車ということで、博覧会の終了後、鉄道作業局は、走行性能試験を行ったが、結局、日本鉄道が買い受けることとなった。
記事
*4000形と同系統のB+B形マレー式タンク機関車
<形式:4510>
・軸配置・機関車形態:B+B形マレー式タンク機関車
・製造会社:Maffei(ドイツ)
・製造年度・両数:1904年(1両)
・機関車質量:43.7t(軸重11.6t)
・動輪直径:1143mm
・記事:北海道鉄道が導入。
*7050形と同系統のC1形テンダ機関車
7080形 Beyer Peacock(英国) 1902年(6両)