鉄道作業局神戸工場は、1893年に860形を国産した後も、リチャード・フランシス・トレビシックの設計と指導の下に、
1895年に2B形テンダ機関車5680形、
1896年にサイドタンク付き1C形テンダ機関車7900形、
1900年にサイドタンク付き1D形テンダ機関車9150形、
1904年に1C1形タンク機関車3150形、
とさまざまな用途の機関車を製作を行っていた。
9150形は、3年を掛けて設計を行ったとされ、完成後は、奧羽線の福島・米沢間の急勾配区間で使用され、優秀な成績を収めらたとされている。
また、1897年には、C1形タンク機関車2120形の増備のため、2120形を模して6両を製作している。
生産技術
これらの機関車は、特定の機関車を模して作ったものとは異なり、リチャード・フランシス・トレビシック設計の特徴であるジョイ式弁装置、上付き式のシリンダ弁室、裾広がり形状の煙室前板などを備え、外観デザインも神戸工場製と一目でわかるものであった。
特に、1988年に建造を計画した1D形テンダ機関車9150形は、1988年に碓井峠に次ぐ難所であった福島・米沢間の33.3‰勾配線区での使用を目的としていたため、真空式と併せて反圧制動装置を装備するなどの工夫が見られる。
時代背景
外国人技術者の設計と指導の基とはいえ、これらの機関車は、特定の機関車をただ模しただけとは異なり、当時の世界の最新技術を意識して作られたものであり、その後の日本人技術者たちだけでの国産化に大きく貢献したと考えられる。
記事
<形式:5680>
・軸配置・機関車形態:2B形テンダ機関車
・製造会社:神戸工場(鉄道作業局)
・製造年度・両数:1895年(4両)
・機関車質量:32.5t(軸重11.1t)
・動輪直径:1397mm
・記事:模倣ではなく、5130形を改良した機関車であった。
<形式:7900>
・軸配置・機関車形態:1C形テンダ機関車
・製造会社:神戸工場(鉄道作業局)
・製造年度・両数:1896年(4両)
・機関車質量:42.0t(軸重12.6t)
・動輪直径:1245mm
・記事:勾配線区用機関車7700形の増備を目的としたサイドタンク付きとした。
<形式:9150>
・軸配置・機関車形態:1D形テンダ機関車
・製造会社:神戸工場(鉄道作業局)
・製造年度・両数:1900年(2両)・1906年(4両)・1908年(4両)
・機関車質量:48.9t(軸重10.7t)
・動輪直径:1092mm
・記事:勾配区間用のため、サイドタンクをもつほか、真空式と併せて反圧制動装置を装備していた。
<形式3150>
・軸配置・機関車形態:1C1形タンク機関車
・製造会社:神戸工場(鉄道作業局)
・製造年度・両数:1904年(4両)
・機関車質量:51.6t(軸重13.1t)
・動輪直径:1245mm
・記事:京都〜馬場間の25‰勾配線区に使用する目的で製造した。