官営鉄道が勾配区間及び貨物用機関車に導入したアメリカ製の1C形テンダ機関車は、英国製と異なり、ボイラの横に水タンク(サイドタンク)を備えない構造であった。
当初、8150形が箱根越えに導入され、後に8150形の増備車として8100形及び7950形が導入された。
信越線などの勾配区間用として、また貨物列車用として、同系統の機関車を増備したほか、北海道官設鉄道、山陽鉄道、九州鉄道、関西鉄道にも導入された。
生産技術
<形式:8150>
・軸配置・機関車形態:C1形タンク機関車
・製造会社:Baldwin(米国)
・製造年度・両数:1890年(2両)・1893年(4両)
・機関車質量:40.0t(軸重11.9t)
・動輪直径:1219mm
なお、同系統の機関車のうち、8450形及び8050形は、ヴォークレン複式シリンダを備えた複式機関車(860形の記事を参照)であった。
時代背景
これまで、官設鉄道及び日本鉄道では、招へいした鉄道関係の技術者の多くが英国人であったことなどから、英国製機関車を主として導入してきた。
一方、山陽鉄道や北海道官設鉄道を除く北海道内の鉄道は、米国製機関車を導入してきた。
なお、鉄道作業局が導入した8150形やその同系統機関車は、鉄道統合後は、北海道へ転属している。
記事
*官営鉄道で導入された同系統の機関車
7950形 Rogers(米国)1897年(18両)
8100形 Baldwin(米国)1897年(20両)
*北海道官設鉄道で導入された同系統の機関車
7270形 Brooks(米国) 1900年(4両)
7270形 汽車会社(大阪)1905年(2両)
7300形 Baldwin(米国) 1903年(5両)
7350形 Rogers(米国) 1902年(6両)
7400形 Baldwin(米国) 1896年(3両)北海道官設鉄道の最初の機関車。
7500形 Baldwin(米国) 1903年(4両)・1904年(2両)
7550形 Alco. Schenectady(米国) 1904年(3両)
*関西鉄道で導入された同系統の機関車
7650形 Brooks(米国) 1897年(3両)関西鉄道では、「鬼鹿毛」と呼ばれたが、増備車は、英国製7850形にその座を奪われた。
*山陽鉄道で導入された同系統の機関車
8400形 Rogers(米国) 1897年(4両)
8350形 Baldwin(米国) 1894年(4両)
8450形 Baldwin(米国) 1893年(6両)
*筑豊鉄道で導入された同系統の機関車
8000形 Baldwin(米国) 1894年(2両)・1895年(2両)
8050形 Baldwin(米国) 1892年(3両)
*九州鉄道で導入された同系統の機関車
8550形 Schenectady(米国) 1902-1906年(61両)