1886

明治20年代の代表的機関車 1B1形タンク機関車 400形

400形、500形、600形

記事番号J140

 1886年、1B1形軸配置を始めて採用し、従来よりも大きい牽いん力と速度を実現した400形を「日本鉄道」に導入した。
 曲線通過の容易な構造をもつ先従台車を採用するなど、その当時の日本に適した機関車であり、性能的にもすぐれていたため、同系統の500形は、明治時代のお召し列車の牽引にも用いられるほどであった。
 同系統機を大量に導入したこともあり、それぞれの修理部品の互換性が高く、大正時代にはいっても廃車されることなく、用いられた。

生産技術

 同系統の機関車間で、部品の互換性を確保したという面は、鉄道省時代の制式部品、今日の標準化と相通ずるところがある。
 なお、臼井茂信著 国鉄蒸気機関車小史によれば、400形の元設計は、リチャード・フランシス・トレビシックと推定されている。

<形式:400>
・軸配置・機関車形態:1B1形タンク機関車
・製造会社:Nasmyth Wilson(英国)
・製造年度・両数:1886年(1両)
・機関車質量:31.6t(軸重9t)
・動輪直径:1321mm

時代背景

1880年代末から1890年始めにかけて、全国各地に民営鉄道が建設されるにともない、広い用途に対応できる400形の同系統の機関車が数多くの製造会社から輸入され、後年は、神戸工場、兵庫工場、汽車会社、日本車輌によって国産機も製造されている。

記事

*同系統の1B1タンク機関車(輸入車)
450形 Brooks(米国)  1897年(4両)
480形 Krauss(ドイツ) 1909年(2両)
500形 Dubs(英国) 1888〜1897年(61両)
600形 Nasmyth Wilson(英国) 1887〜1904年(78両)
700形 Vulcan Foundry(英国) 1887〜1896年(20両 なお、鉄道省に引き継がれ700系を名乗ったのは18両)
870形 Nasmyth Wilson(英国) 1897年(2両)、1901〜1902年(6両)

*同系統の1B1タンク機関車(国産車)
860形 神戸工場(鉄道作業局) 1893年(1両)
850形 兵庫工場(山陽鉄道) 1896年(1両)
230形、225形、800形、810形 汽車会社 1903〜1909年 (45両)
280形 日本車輌 1923年(2両)

  • 500形
    出所:「100年の国鉄車両」(株式会社 交友社)

  • 600形
    出所:「100年の国鉄車両」(株式会社 交友社)

  • 700形
    出所:「100年の国鉄車両」(株式会社 交友社)