5300形と同時期にBeyer Peacockから輸入した2両の1882年製2B形タンク機関車を神戸工場で2B形テンダ機関車、5490形に改造した。
元となったタンク機関車の側面に設けていたサイドタンク(水タンク)を撤去し、炭水車(テンダ)を新たに国内で組み上げた機関車である。
改造の元となった2B形タンク機関車は、同じ製造会社の5300形と異なり、火室を動輪間の間に設けていた。
フランシス・ヘンレー・トレビシックは、この火室の位置の違いを比較するために、これらの機関車を導入したとも考えられ、その後の旅客用2Bテンダ機関車の設計の方向を決めるに至って、5500形、6200形といった明治の代表的な旅客機関車が導入された。
生産技術
<形式:5490>
・軸配置・機関車形態:2B形テンダ機関車
・改造会社:神戸工場(鉄道作業局)
・改造年度・両数:1884年(2両)
・機関車質量:30.7t(軸重9.6t)
・動輪直径:1372mm
<形式:5500>
・軸配置・機関車形態:2B形テンダ機関車
・製造会社:Beyer Peacock(英国)
・製造年度・両数:1893〜1907年(72両)
・機関車質量:31.5t(軸重11.5t)
・動輪直径:1372mm
記事
臼井茂信著 国鉄蒸気機関車小史によれば、煙突の形状は、B.F.ライトが好んだと言われるパイプの先にリングを付けた形状に変更したとあり、当時の招へい技術者の好みが反映されていたことが分かる。
*5490形、5500形と同系統の2B形テンダ機関車
5600形 Beyer Peacock(英国) 1899年(6両)・1903年(12両)
5630形 Neilson(英国) 1893年(5両)・1896年(6両)
5650形 Sharp Stewart(英国) 1898年(6両)
*5500形を改良して一周り大きくなった機関車
形式:6200
軸配置・機関車形態:2B形テンダ機関車
製造会社:Neilson(英国)
製造年度・両数:1897〜1900年(51両)
機関車質量:31.0t(軸重10.2t)
動輪直径:1524mm
記事:「ネルソン」の愛称で呼ばれた。
*6200形と同系統の2B形テンダ機関車
6270形 Dubs(英国) 1900年(25両)
6300形 Alco.Cooke(米国) 1908年(24両)
6350形 Hanomag(ドイツ) 1909年(36両)
なお、臼井茂信著 国鉄蒸気機関車小史によれば、英国仕様の機関車を米国、ドイツから導入したのは、価格が安く、とくに米国製は生産と輸出期日が早いこと、ドイツ製は官営鉄道としてアプト式の3900形以外の採用経験がなく試用する目的であったのではないかと言われている。