1930

鉄道省初のドイツ製 電気式ディーゼル機関車 DC11形

DC11形

記事番号L30

 DC11形ディーゼル機関車は、日本国有鉄道の前身である鉄道省がドイツから輸入した電気式ディーゼル機関車である。
 ディーゼル機関車の各種方式・機器の比較検討用サンプルとして機械式のDC10形と共に1両ずつドイツから輸入された。(Wikipedia)

・軸配置 1C1
・運転整備質量 67 t
・ 6気筒4サイクル直噴式ディーゼルエンジン 600PS/665rpm
<電気式>
・発電機 最大発生電圧750V、定格出力380kW モデルGE870/8/320
・主電動機 自己通風形直流直巻電動機GLM75 2ab 2基搭載

生産技術

 発注に当たっては、DC10形とともにディーゼル機関車の製造能力では当時世界最優秀といわれたメーカー群が選定された。
 (1)車体を含む機械部分がエスリンゲン、
 (2)エンジンはMAN(アウクスブルク-ニュルンベルク機械工作所)、
 (3)電気部分はスイスのブラウンボベリ
の各社が製作、各動輪は蒸気機関車と同様にロッドで連結して駆動していた。
 1929年6月に神戸港に到着。鷹取工場に持ち込まれて完全に分解され、時間をかけて入念な構造の調査が実施された。
 その後、再組み立てと試験を経て、1930年9月25日より3日間をかけて山陽本線の姫路駅 - 岡山駅 - 庭瀬駅間で公式試運転。鷹取機関区に配置され、神戸港周辺の入換用として使用され、昭和19年7月に廃車された。

時代背景

 発電用ディーゼル機関は、第一次世界大戦中にUボートをはじめとする軍用舟艇搭載ディーゼル機関の設計製作を担当したMAN製。

記事

 同時発注のDC10形は、完成度が不十分であり満足の行く完成度が得られるまで納期を遅らせて欲しい、というメーカー側の要望で納入が約1年5か月遅延したため、これに先行して1929年(昭和4年)に日本に来着した本形式は、国鉄初のディーゼル機関車となった。

  • DC11形
    出所:100年の国鉄車両(交友社)