次世代の大出力気動車として大形のエンジンと国鉄計画初の変速及び直結段2速の液体式変速機一組搭載の最高速度110km/hの試作気動車である。
生産技術
戦前に試作されたDMF31Hは、のちにDD13形ディーゼル機関車用に竪型エンジンとしてとして完成し良好な成績をみたたが、これを基に再度横型にして過給機付DMF31HSA(400PS/1300rpm)としてキハ60に搭載した。液体変速機は機関車、気動車を通じて初の国鉄計画のDW1形で、機関回転数を増速してここにコンバータとカップリングを各1個おき、この充排油と湿式多板の変速クラッチの併用により、変速・直結1・直結2の3段切り換えを自動的に行なう方式とした。また、出力部に逆転装置を内臓し、2軸駆動とした。冷却ファンはベーンタイプ油圧ポンプ、モータによる静油圧駆動方式として冷却水温によりファン回転数を制御した。
記事
多くの試作要素が盛り込まれて、わが国のディーゼル車両発達史上で忘れられない試作車のひとつである。
横型エンジンのシリンダ潤滑のトラブルと変速機の直結1、2速切り換え時のショックが大きい問題が解決されないことなどからこの組み合わせの開発は中止された。