キハ60形気動車は、国鉄が1960年(昭和35年)に製造した大出力ディーゼルエンジン搭載の試作気動車である。
当時における次世代の大出力気動車であり、最高速度は110km/hを計画していた。これは在来形気動車の最高速度95km/hを大きく上回るもので、当時国鉄最速であった151系電車と同等である。
エンジン以外にも、液体変速機や台車・車体などに数多くの新機軸を盛り込んだが、目的を達せず量産化には至らなかった。(Wikipedia)
生産技術
車体外観はキハ55系に酷似しているが、キハ・キロとも外吊り式の客用扉を採用。
水平機関を用いるため、床面の点検蓋は廃止され、特急形電車並みの浮床構造を採用して防振・防音を図っている。
エンジンは入換機関車DD13用の大出力改良形のDMF31 Sを横型にして1基搭載、これに新たに開発した充排油式の液体変速機を組み合わせた。この変速機は直結段を従来の1段から2段に増やして、駆動効率の改善を図っている。
駆動台車は大出力に対応するため2軸駆動となった。
また高速運転に備え、ブレーキは油圧作動のディスクブレーキとした。このブレーキに関する限り、当時の特急電車並である。(Wikipedia)
時代背景
キハ60系の開発は、それ以前の国鉄気動車用の標準エンジンであったDMH17系エンジン(150 - 180PS)の非力さが問題になっており、その対策が求められたことが発端となっている。
記事
当時の日本の技術水準では、大排気量エンジンと直結2段変速機をスムーズかつ緻密に同調させることができなかった状況であり、キハ60系における大出力エンジンと直結2段変速機の試みは、結局失敗に終わった。
しかし、ディスクブレーキ装備の空気バネ台車だけは、のちにキハ82系特急形気動車に採用され、高速域からの優れた制動能力を発揮して所期の成果を挙げた。
※注:キハ60系は、気動車のグループを便宜的に総称したもの