1955

郊外電車用に改良した発電ブレーキ併用電磁直通ブレーキ装置(HSC-D)が営業運転車両として初めて採用

小田急電鉄2200形

記事番号C250

小田急電鉄の2200形高性能軽量車がSMEEをさらに郊外電車用に改良した発電抵抗ブレーキ併用電磁直通ブレーキ装置(HSC-D:High Speed Control brake with Dynamic brake、SED[国鉄呼称]:Straight air brake 、Electromagnetic、Dynamic)が初めて採用された。(三原製作所20年史、三菱電機技報「電車用電空併用ブレーキの発達」Vol.33・No.2の18、27、32頁他。三車三製の思い出(千載有韻氏))

記事

本ブレーキ装置は、三菱電機(株)、三菱重工業(株)が開発したもので、元々、ウェスチングハウスエアブレーキ社が戦前期に米国の高速列車用に開発したSMEEブレーキ装置の非常弁部をA動作弁の自動ブレーキに置き換えたシステムであるHSCをベースにして、SMEEと同様にセルフラップ式ブレーキ弁のハンドル角度に応じて発電ブレーキ力を制御する機構を付加したブレーキ装置である。

長所:
・電空制御器の採用により、長編成であってもブレーキの同期性が良い。
・直通ブレーキが故障した場合、自動ブレーキで代用できる。
・列車分離の際、自動的に後方車両に非常ブレーキが作用する。
短所:
・直通ブレーキと自動ブレーキの2種類の空気部品が必要で装置が複雑になる。

  • 小田急電鉄2200形電車
    写真提供: (社)日本鉄道車輌工業会

  • 発電抵抗ブレーキ併用電磁直通ブレーキ装置(HSC-D形、SEID形[国鉄呼称]ツナギ図
    出所 (社)日本鉄道車輌工業会