いわゆる相武台実験。日本で初めてカルダン台車の評価試験が、小田急線相模大野〜相武台前間で実施された。TT-1A直角カルダン台車(東芝)、KH1クイル式台車(日立)、吊り掛け台車の3方式で比較走行試験が実施され、ばね下重量の軽減効果が大きいことが確認された。
1952年以降、小田急、名鉄(TT1形台車・直角カルダン)、阪神電鉄(TT2形台車)、阪急電鉄などでも評価試験が行われた。
1952年国鉄キハ44000形ディーゼル動車で初めて直角カルダンが実用化された。(鉄道車両と技術 N0.122 2006)
生産技術
相武台実験とは、1951年2月〜3月に、運輸省運輸技術研究所の指導の下、小田急電鉄殿の好意により小田急本線上で行なわれた走行試験である。
直角カルダン台車が最も優れた性能であることが立証されたもので、電車用台車・駆動装置および主電動機の技術開発史上でも画期的な試験であった。
試験結果(例):
・上下びびり振動は著しく減少し、前後動は全くみとめられなかった。
・軸箱の上下加速度は、在来車の2/3程度
・軌道に及ぼす衝撃力は半減
等、直角カルダン台車の優秀性が確認された。
直角カルダン試作台車TT-1A:DT16(=モハ80系湘南電車用鋳鋼台車)重量比較
・台車全重量 7,560kg:11,120kg 約68%
・ばね下重量 3,140kg: 5,250kg 約60%
時代背景
これまでは、ほとんどが「つりかけ型」であった。戦後間もない時期の1946年には、高速台車振動研究会が発足したが、さらなる電車の高速化・高加減速化と乗り心地向上のためには、車両全体の軽量化、ばね下重量の軽減を図る必要があった。
記事
補足:クイル式駆動方式は、車軸を中空にして内部を中空軸が貫通する構造。電気機関車では問題にならない中空軸と車軸との間隙が、荷重変動の多い電車ではその間隙を大きく取る必要があり、そのための一工夫が必要。日立は1951年に試験し、開発を続けたが、電車では普及せず、後に電気機関車で採用されたが、不具合が多く使用されなくなった経緯がある。(鉄道車両と技術 N0.122 2006P22)