1954

発電抵抗ブレーキ併用電磁直通ブレーキ装置を営業運転車両として初めて採用

帝都高速度交通営団丸ノ内線300形

記事番号C240

帝都高速度交通営団丸ノ内線300形でウェスチングハウスエアブレーキ社が開発した発電抵抗ブレーキ併用非常弁付電磁直通ブレーキ装置(SMEE形:Straight air brake、Motor car、Emergency valve)、Electric)(電磁直通ブレーキと非常管(自動)ブレーキを備えた発電ブレーキ併用方式)が初めて採用された。
また、空気弁にゴム膜板、ゴム弁方式が実用化した。(三原製作所20年史、三菱電機技報「電車用電空併用ブレーキの発達」Vol.33・No.2の18、27、32頁他。千載有韻 三車三製の思い出)

時代背景

発電抵抗ブレーキの本格的利用。

記事

従来の電磁自動ブレーキは、運転台のブレーキ弁からの操作で各車のブレーキ及び弛め電磁弁を作用させてブレーキ指令としていたが、まだ制御性が悪かった。SMEE型は常用ブレーキとして電磁給排弁と直通管で構成された直通ブレーキ、非常管と非常弁で構成された非常管方式を併せ持つことで制御性が格段に向上した。また、常用ブレーキは、電気ブレーキ力を有効に利用するために発電抵抗ブレーキを併用する方式であった。

長所:
・常用ブレーキの制御性が向上した。
・列車分離した場合、後方車両にも非常ブレーキが作用する。

 ブレーキ制御に使う各弁類は、配管で結ぶために管取付座(略称「管座」)に取り付けられるが、まとめて1つの管座に取付けてユニット化し、配管や保守取扱の合理化が図られるようになった。SMEEでは、鉄鋳物の立方体6面に弁の取付けができるようにした箱型管座(略称「箱管座」)が開発された。箱管座の内部は、複雑な通路や容積を構成させる高度な鋳物技術(中子取り)が必要な難しい鋳物であった。A管座、C管座、D管座の3つの管座をボルトで連結させてユニット(作用装置:Operating Unit)を構成させていた。                        "

  • 帝都高速度交通営団丸ノ内線300形(茗荷谷駅)
    出所 (株)保育社「日本の電車」

  • 発電抵抗ブレーキ併用非常弁付電磁直通ブレーキ装置(SMEE)
    出所 (社)日本鉄道車輌工業会