1904

1904 日本初の総括制御による電車運転開始(600V DC)

甲武鉄道デ963 電磁接触器式制御器(手動)

記事番号B030

1895年飯田町〜八王子間を営業した甲武鉄道が、1904年8月飯田町〜中野間を電化(架空複線式、600V)。電車は全長約10mの木製4輪単車。MTM編成で総括制御運転を意図して作られている。(鉄道車両と技術No.141(08-2) p41) 
 電機品はGE製
・電動機53-A型(45PS×2):13両、[WH社89形(50HP×2):12両]
・制御器GEC-14形(手動Mコントロール:電磁接触器式制御器):13両
 マスコン C-14形
 [制御器WH12形電磁空気式制御器:12両]
・直通空気ブレーキ・手ブレーキ併用(全てGE製)
・ジャンパ連結器は7芯
1906年甲武鉄道が国有化されたため、この電車が鉄道省(後の国鉄)最初の電車である。(鉄道車両と技術No.141(08-2) p42)
国鉄買収時、三等車25両、二三等車3両の計28両

生産技術

当初電機品はGE製

1909年国鉄初の2軸ボギー電動車ホデ6100形が山手線で運転。
電機品は、シーメンス製

時代背景

 世界初の総括制御電車は1898年シカゴにて、スプレーグ製のK3形電動ドラム制御とGE製の電動機による駆動制御された。そのわずか6年後に日本に伝わり運転された。

記事

マスコン:マスター・コントローラの略。主幹制御器。

制御方式:
・直接式・・・架線電流を運転台に直接引き込んで、運転手が直接、電流の入切りや抵抗器の切替えを行う方式。:架線電圧が直接、運転台に入るので、高圧・大電流への対応は困難。
・間接式・・・制御装置をリモート操作する方式で、制御電源のみ運転台に引き込めばよい。1898年にスプレイグ(米)により総括制御システムの一部として考案された。

電車用、間接制御器の発展と種類
・GE製 Mコントロール式;電磁式単位スイッチの機構(1901年)
     MK式;回路が大幅に簡略化、手動進段式(1910年〜)
     MA式;自動進段式(1910年代中盤以降に発展) 
・PC ;電空カム軸式
       ・PCM;多段式
       ・MCM;電動カム軸式

・WH製 電空単位スイッチ(1904年)応用の制御器。
      以下の略号の組合せの型式。
     H 手動進段(Hand acceleration)
     A 自動進段(Automatic acceleration)
     L 架線電圧動作(Line voltage)
     B 低電圧動作(Battery Voltage)
     F 弱め界磁機能(Field tupper)
     S スポッティング付き
    例 ABS ;自動進段・低電圧動作・スポッティング付き.

・デッカー社(後のEE社)製 間接自動制御器シリーズ。
      電動カムスイッチ機構で自動進段による多段制御で
      コンパクトかつシンプルな構造としている。

(Wikipedia マスコンより)

  • 甲武鉄道初の電車
    出所 「写真で見る電車の70年 日本の電車」(鉄道図書刊行会)