1962

日本初 溶接構造のアルミ合金車両

山陽電鉄2000系

記事番号A210

日本初の溶接構造によるアルミ合金製車両。西ドイツのWMD社のライセンスを受けて川崎車輌(後の川重)が製作したものである。鋼製構体の製作の考え方を受け継いだ形のもので、具体的には、アルミ合金の形材の押出技術とアーク溶接技術により、材料のみアルミ合金に置換した溶接接合によって骨組みとその外側に薄い板材を貼り付ける構造としている。一部リベット止め。アルミ合金は、Al-Mg系合金など当時船舶などで実績のあったものを使用している。(「金属」Vol.70(2000),No.2 P142)(Wikipedia)

生産技術

<日本初、溶接構造 アルミ車体 製造>
・接合技術:アーク溶接
・構造:溶接接合でモノコック構造は鋼製構体と同じ。
 材料のみアルミ合金に置き換えた構造。
・材料:Al-Mg系合金 A5052:屋根板・波板,
              A5083:垂木・側板・横梁
     Al-Mg-Si系  A6061:側梁
アルミ合金の小・中型の押出し形材と溶接接続にすることにより、部品点数を減らし工数低減を図っている。

記事

<アルミ車両の歩み 概観>
アルミ車で溶接構造のものは川崎車輌(現 川重)がドイツ(WMD社)からライセンスを受けて製作したことに始まる。アルミ合金製電車は、ジュラルミン製の在来線で誕生し、民鉄・地下鉄で育ち、新幹線で進化した。国鉄・JRでは主にアルミ車は高速車両用で在来線はステンレス車となっている。民鉄・地下鉄では事業者や線区の事情によって様々となっている。なお、アルミ車とステンレス車がほとんど同時期の1962年に開発されたが、これは世の中の趨勢とともに多分にメーカーの競争意識の結果でもあるといわれている。

  • 山陽電鉄2012形アルミ合金製電車(2012号)
    写真提供 川崎重工業(株)」

  • 山陽電鉄2000系電車の構体構造
    イラスト提供 服部 守成氏

  • アルミ合金製車両の製作の歴史と諸元表
    出所 「アルミニウム車両委員会報告書」